◇しぼりたて新酒生酒(初しぼり)とは
伝統的な酒造りをする各地の蔵では、昔ながらに冬の寒いさなかに
お酒を仕込む「寒造り」が行われています。
凍えるような寒さの中、甑(こしき)がもうもうと湯気をあげ、
ほのかに甘い麹の香りが漂う蔵の内で、秋に穫れたばかりの新米で
仕込まれた新酒が、次々にうぶ声をあげます。
このできたて・搾りたてのお酒を、そのまま瓶詰めしたのが
新酒生酒〈初しぼり〉です。
新酒生酒〈初しぼり〉は、しぼりたてのお酒のフレッシュ感を
たいせつにするため、火入れをしない生酒のまま、瓶詰めします。
冬本番から、春めいてくる頃まで楽しめる、旬の味わいです。
新酒生酒〈初しぼり〉は、
いわば寒仕込み真っ最中の蔵元から届く蔵元だより。
〈初しぼり〉の楽しみのもう一つに、
“今年のお酒のできばえを見る”ことがあります
。
熟成期間の長いワインと違って、日本酒は熟成も早く、1年の中で
四季折々の味わいの変化を楽しむことができます。
そのサイクルのいちばん始めに位置するのが、この〈初しぼり〉。
1年をかけて季節ごとに味わいを変えていくお酒の、
最初の味わいをおさえておきましょう。
数ヶ月後、あるいは一年後に熟成したお酒を味わう楽しみが
増えるはず。
◇しぼりたて新酒生酒(初しぼり)の魅力とは
〈初しぼり〉の魅力は、なんといってもフレッシュさ。
熟成された味わい豊かな秋のお酒〈ひやおろし〉とは、
まったく正反対の魅力を放ちます。
弾けるほど若々しく、荒々しくもある味わい。
それでいて清々しく甘やかで華やかな香り。
盃を口に運んだ瞬間、爽やかで甘やかな香りに包まれ陶然とします。
口に含めばピチピチと跳ねるようなフレッシュさの中に、甘やかさと、
辛さ、そして後味にほろ苦さを感じとれるはず。
ほろ苦さが潜む軽快でみずみずしい味わいは、
山菜やサヨリなど早春の食材との相性もぴったり。
◇しぼりたて新酒生酒(初しぼり)の楽しみ方
せっかくのフレッシュな味わいと香りを楽しむためには、
そのまま冷えた状態でお召し上がりください。
アルコール度が少し高めの「原酒」はオンザロックもよし。
発泡性のある「にごり酒」はパーティにもぴったりです。
〈初しぼり〉は原酒が多く、また原酒ではなくともアルコール度数が
17〜18度台のものも多く見受けられますので、
くれぐれも飲み過ぎにはご注意を。
スムースな美味しさに油断していつもの調子で飲んでいると、
足下不如意となってしまいます。
チェイサーにお水を用意して、「日本酒ときどき水」の要領で
交互に飲んでいくと深酔い防止になります。
◇しぼりたて新酒生酒(初しぼり)の取り扱い
ところで〈初しぼり〉は生酒、つまり
いっさい火入れ(加熱殺菌)をしていないデリケートなお酒です。
〈初しぼり〉を手にしたら、速やかに冷蔵庫に入れ、
一度封を切ったものはなるべく早く飲み切ってください。
または、少量容器に天まで入れて 空気が入らないように
密栓しておくと安心です。
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