スーパー・ネゴシアンとは

かって、フランスのワイン業界は、個々の生産者からブドウや果汁を買ってワインにして販売するネゴシアンによって支配されていました。大部分のブドウ栽培家はワインを造るための設備と知識に欠け、試しに造ってみても惨めに失敗することが多かったのです。ネゴシアンは消費者に安心と信頼を与え、スケールメリット(規模の経済)で安い価格で販売することが出来ました。しかし、残念なことに多くのネゴシアンがその有利な立場を利用して、いい加減に造られた、時には偽物のバルクワインを売ることで利益を得ていたのです。ところが、1970年代後半から80年代にかけて、品質を重視する生産者が徐々に増えていき、啓発されたワイン商にも促され、造り手達はワインの醸造、熟成、瓶詰めを学び、自分達でワインを造り始めたのです。もともと生産者達は質の高いブドウ畑を持っていたため、ネゴシアンには二流三流のブドウしか残らず、ネゴシアンの評価は徐々に落ちていったのです。こうして形勢は完全に逆転し、生産者元詰が主流になっていったのです。

しかし、1990年代になるとスーパー・ネゴシアンという新しい現象が現れてきました。このスーパー・ネゴシアンはそのどれもが、「自社畑を持たなくても幅広い種類のアペラシオンから得た最上のブドウで最高のワインを造る」という究極の挑戦をするために、才能に恵まれた醸造家によって設立されたものでした。彼らはいずれも、一つのブドウ畑に束縛されたり、著名なドメーヌでワインメーカーの職に就いたりするよりも、面白いブドウを見つけて、それで何ができるか試してみることを選んだのです。このスーパー・ネゴシアンの有名な例としては、その高い品質で既に世界的な名声を確立したブルゴーニュのドミニック・ローランやヴェルジェ、ローヌのタルデュー=ロランなどがあります。そして、今フランスで大きな注目を集めているのがこのプリモ・パラテュームなのです。