Grand Enclos du Château de Cérons

グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロン

社名                       グラン・タンクロ・ド・セロン社S.C.E.A. du Grand Enclos de Cérons
所有者:                   ジョルジョ・カヴァンナGiorgio CAVANNA(カステッロ・ディ・アマ共同所有者)
醸造コンサルタント:  パトリック・レオンPatrick LEON
シャトー支配人:       ベルトラン・レオンBertrand LEON 

この他、ソーテルヌ&バルザック地区の1級格付けシャトーで、キュヴェ・マダムを造ることで有名なシャトー・クーテとも深い親交があり、栽培・醸造に関して的確なアドヴァイスを受けている。パトリック・レオンはシャトー・クーテの醸造コンサルタントも務めている。 

グラン・タンクロ・ド・セロン社は、グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロンGrand Enclos du Château de Céronsとシャトー・ラムルーChâteau Lamouroux2つのシャトーを所有している。

グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロンは、セロンCéronsのコミューンにあるクロ(垣)に囲まれた10ヘクタールの畑。シャトー・ラムルーはポダンサックPodensacのコミューンにある16.5ヘクタールの畑。

 2つのシャトーの畑で栽培された葡萄は、それぞれの別のシャトー名のワインとして販売されるのではなく、ボルドーの高級シャトーと同様、一旦全て選別され、グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロンの名前を冠したファースト・キュヴェに値する葡萄のみが選ばれ、その他のものはシャトー・ラムルーの名前を冠したセカンド・キュヴェに使用される。

セロンとポダンサックは、どちらもアペラション・グラーヴ(赤、白)、グラーヴ・シュペリュール(甘口白)、セロン(甘口白)の三つのアペラションの指定区域になっている。

Grand Enclosの発音は、グラン・アンクロではなく“グラン・タンクロ”と発音する、これはEnclosの最初の文字Eが母音であるため、Grandの最後のdとリエゾン(連音)するため。

 総栽培面積:          26.5ヘクタール(うち赤15ヘクタール、白11.5ヘクタール)
 栽培品種:              カベルネ・ソーヴィニョン:            7.5ヘクタール
                                  
メルロー:      7.5ヘクタール
                                  
セミヨン:       8ヘクタール
                                  
ソーヴィニョン・ブラン:  3ヘクタール
                                  
ソーヴィニヨン・グリ:       0.5ヘクタール

葡萄樹の樹齢:        840年(平均樹齢35年)、白1270年(平均樹齢35年)
植樹比率:               1ヘクタール当たり6,0006,600
土壌:                       表土は火打ち石。下層土は砂利。

 キュヴェのラインナップ

グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロンの名前を冠したファースト・キュヴェとシャトー・ラムルーの名前を冠したセカンド・キュヴェが各3種類ずつある。

 

ファースト・キュヴェ

l         グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロン グラーヴ 赤

Grand Enclos du Château de Cérons AOC Graves Rouge

l         グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロン グラーヴ 白 辛口

Grand Enclos du Château de Cérons AOC Graves Blanc

l         グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロン セロン 白 甘口

Grand Enclos du Château de Cérons AOC Cérons Blanc

セカンド・キュヴェ

l         シャトー・ラムルー グラーヴ 赤

Château Lamouroux AOC Graves Rouge

l         シャトー・ラムルー グラーヴ 白 辛口

Château Lamouroux AOC Graves Blanc

l         シャトー・ラムルー グラーヴ・シュペリュール 白 甘口

Château Lamouroux AOC Graves Supérieur Blanc

 

パトリック・レオンPatrick LEONについて

1943年ボルドー生まれ。ボルドー大学で醸造学を修めた後、アレクシス・リシーヌで買い付け及び醸造責任者を担当。1985年からはバロン・フィリップ・ド・ロートシルト社の常務取締役兼醸造責任者として、シャトー・ムートン・ロートシルト、オーパス・ワン、アルマヴィーヴァなどムートン系列の全てのワインの醸造に関わっている。また、80年代初頭からトスカーナのカステッロ・ディ・アマの醸造コンサルタントも務めている。まさに世界をまたにかける敏腕醸造家。1982年以降、カステッロ・ディ・アマが次々と発表し始めた単一畑のキャンティ・クラシコ、いわゆるクリュ・ワインやトスカーナで初めて造られたメルロー100%のスーパー・タスカン≪ヴィーニャ・ラッパリータ≫、そしてボルドー的なクリュ・ワインへの転換の成功の陰には、パトリック・レオンの助言が非常に大きかったと言われている。

グラン・タンクロ・デュ・シャトー・ド・セロンのあるセロンのコミューンからガロンヌ河を隔てた対岸の町カディアックで育ったパトリック・レオンは、古くからセロン地区のワインに大きな可能性を見出しており、アマがボルドーでワイナリーを所有するにあたり、セロン地区に畑を購入するように助言したと言われている。

*パトリック・レオンは、『Wine Enthusiast』誌の2002WINE AWARDSにおいて、WINE MAKER OF THE YEARに選ばれました。

 

葡萄栽培について

耕耘は年間を通して行い、葡萄樹の間に雑草は生やさない方法を取っている。肥沃な土壌においては、葡萄樹の樹勢を抑えるために雑草を生やし、葡萄樹と雑草が栄養分を求めて競争させる必要があるが、グラーヴは、他の葡萄栽培地と比べて、気候が温暖で(夏は非常に暑い)、砂利が非常に多い痩せた土壌であるため、葡萄樹を他の雑草と競争させることはあまり好ましくない。このため、常に耕耘を行って雑草を取り除いている。

2000年の畑の購入以降、ギヨ・ドゥーブル(4芽の長梢2本)の剪定を畑の最大限で実施するようにしているが、ギヨ・ドゥーブルへの変更が難しい区画は、ギヨ・サンプル(6芽の長梢、2芽の短梢)で剪定を行っている。最終的には1株に68房の葡萄がつくようにしている。ギヨ・ドゥーブルへの変更理由は、ギヨ・ドゥーブルの方がギヨ・サンプルに比べて葡萄樹の樹勢が弱まり、植物成長と果実のバランスが安定し、結果的により質の高い葡萄が得られるため。

除葉は、通常2回に分けて行われる。1回目の除葉は夏の前に行う。主として朝日の方角の葉を取り除き、房周りの風通しを良くする。その後、天候条件、葡萄の成熟度、光合成の度合いを考慮に入れた葉の分量などを注意深く観察しながら、補完的な2回目の除葉が必要かを判断する。2回目の除葉を行う場合は、収穫の約1ヶ月前に行う。この際は、日が沈む方向の葉も取り除く。この2段階の除葉の方法は、葡萄の成熟にはもちろんのこと、特に灰色カビ病の予防に非常に効果的であることが判っている。

グリーン・ハーベストは、葡萄の樹勢の不均衡を是正して完璧なバランスにするために、畑の半分の葡萄が色づいた時期(熟期の4752日前)に行う。

 

収量について

赤に関しては、1ヘクタール当たり4042.5ヘクトリットルを平均収量としている。なぜなら、ワインに現れるテロワールの味わいとワインの質とのバランスが最良になる点がこの収量であるため。所有者であるジョルジョ・カヴァンナは、カステッロ・ディ・アマでの経験やムートン・ロートシルトの醸造責任者パトリック・レオンとの20年以上に亘る親交から、偉大なワインに最も大切なものはフィネスとバランスで、評論家受けするような過剰な濃縮ではないとの哲学を持っている。飲んでいくうちに、飽きてくるようなワインではなく、食卓で料理と合わせて最後まで楽しめるワインであることが必要と考えているのである。

2000年以降、赤葡萄の栽培面積を増やし、赤ワインの生産量が年々増えているため、ここ数年の年間平均生産量は年によって異なっている。参考までに、2001年はファースト・キュヴェが9,800本、セカンド・キュヴェ4,000本、2002年はファースト・キュヴェが30,000本、セカンド・キュヴェ6,000本、2003年はファースト・キュヴェが48,000本、セカンド・キュヴェ8,000本となっている。最終的には、ファースト・キュヴェ60,000本、セカンド・キュヴェ20,000本の生産量を目標としている。

 

酵母について

発酵に際しては、グラーヴ固有の培養酵母を使用している。酵母株は品種(セミヨンとソーヴィニョン・ブラン)に応じて、どの程度まで第一アロマを引き立るかによって選ばれる。培養酵母を使う理由は、一般的に収穫されて最初に醸造所に入ってくる葡萄が、適切な時期に発酵を開始するだけの十分な酵母叢を持っていないことが多いことため。もし、発酵の開始が遅くなると、ワイン段階での官能評価において欠陥となるような問題が発生してしまうため、これを避けるために培養酵母を添加して発酵を開始させている。もう1つの理由は、酵母を使うことによって、アペラション・グラーヴのソーヴィニョン・ブランとセミヨンの典型的な特徴が最大限に引き出せるから。

赤の場合、最初に収穫したメルローは、適切な時期に発酵を開始するだけの十分な酵母叢を持っていないことが多いため、酵母を添加して発酵を開始させることが多いが、その後の収穫葡萄(特にカベルネ・ソーヴィニョン)は自然酵母だけで発酵を開始するため、培養酵母の添加は行わない。

但し、収穫葡萄が温かく、冷やす必要がある場合、果皮成分を抽出するために一晩の低温浸漬(68度)を行う場合、あるいは温度の高い時期に、低い温度から発酵を開始して、ゆっくりと温度を上げて発酵を行いたい場合、このような場合には培養酵母を添加する。

 

ステンレス・タンクについて

発酵に使うステンレス・タンクは容量100ヘクトリットルで、高さと直径の割合が11。つまり、高さと直径が同じ長さのものが使用される。近年、赤ワインに使われるステンレス・タンクの形状は、高さと直径が同じ長さの(場合によっては高さよりも直径の方が長い)ものが使われるようになってきている。これは、果帽と果汁の接触面積をなるべく大きくするという狙いがある。接触面積を大きくすることによって、果帽と果実が醸しの際にベストの状態で接触するようになり、タンニン、アントシアニンといったフェノール成分を最上の状態で果帽から抽出することができる。その結果、ルモンタージュ(ポンピング・オーバー)の回数を減らし、ワインへの余分な介入を減らすことができる。一般的にこの種のステンレス・タンクは、最もソフトな抽出方法であるピジャージュ(櫂入れ)を行うのに理想的な形状であるという利点もある。

また、この形状のステンレス・タンクは、区画や品種ごとに醸造するいわゆるミクロ・ヴィニフィカションを実施するには最適の容器で、近年益々増えつつある区画ごとにワインを選別する造り手にとっては理想的な発酵槽と言える。

 

赤ワインの醸造について

収穫は全て手摘み。葡萄を選別し、品種、区画ごと別々に醸造。100%除梗し、温度管理機能付きのステンレス・タンクでアルコール発酵。発酵期間は710日。その後、1015日間の醸しを行う。ルモンタージュ(ポンピング・オーバー)は123回。1回のルモンタージュは約20分間の軽いもので、この間にタンク中の果汁全て(もしくは果汁の1.5倍)が循環される。ルモンタージュはマストの比重が1.000になるまで毎日続けて行われる。ミクロオキシジェナションは使用されるが、補完的なテクニックであるため、極めて慎重に使用される(毎年必ず行われるわけではない)。特に、固いタンニンがあるヴィンテージにおいて、木樽による穏かな酸素供給よりもミクロオキシジェナションの方がタンニンを柔らげる方法として適切だと考えられる場合には、熟成が始まる春に行われることが多い。

プレス・ワインは品種ごとに別々に熟成され、ヴィンテージに応じてファースト・キュヴェやセカンド・キュヴェのアッサンブラージュに加えられることもあれば、バルク・ワインとして売却されることもある。一般的に、ファースト・キュヴェにアッサンブラージュする場合は、ワインに粘性とボディを与えることが目的。

ファースト・キュヴェのマロラクティック発酵と熟成はバリック(小樽)で行われる(50%が新樽、50%が1年使用の樽)。熟成期間はヴィンテージに応じて1214ヶ月間。樽はセガン・モロー、タランソー、ベルトミュー、フランソワ・フレール社の樽を使用している。オークの産地はフランス各地(アリエ、トロンセ、リムーザン、ヴォージュ、ヌヴェール)のものが使われる。焼きはミディアム・トースト。このように異なる産地、異なる樽業者を使用する理由は、多様性と複雑さを得るため、また、樽業者間の競争を促して、樽の質の恒常的な安定を図る目的がある。マロラクティック発酵終了後、1回目の澱引きとアエレーションが行われ熟成に入る。2回目の澱引きは早春に行われる。夏が過ぎた後、試飲による判断で、再度ルモンタージュが行われることがある。アッサンブラージュは瓶詰め前に行ない、卵白で軽く清澄を施し、無濾過で瓶詰めされる。

アッサンブラージュの比率は、メルロー4060%、カベルネ・ソーヴィニョン4060%で、ヴィンテージに応じて異なる。セカンド・キュヴェはステンレス・タンクでマロラクティック発酵と熟成。熟成期間はヴィンテージに応じて1418ヶ月熟成。

 

白ワインの醸造

白葡萄の総栽培面積11.5ヘクタールのうち、78ヘクタールが辛口ワイン用、34ヘクタールが甘口ワイン用の葡萄の栽培に割り当てられている。辛口ワインの平均収量は45ヘクトリットル。ファースト・キュヴェには、最良の葡萄(特にヴィエイユ・ヴィーニュ)が使われ、その他の葡萄はセカンド・キュヴェに回される。年間平均生産量はファースト・キュヴェが28,00030,000本。セカンド・キュヴェは、12,00014,000本。

収穫は全て手摘み。葡萄を選別し、区画ごと、品種ごと別々に醸造を行う。

ファースト・キュヴェのアッサンブラージュ比率は、ヴィンテージに応じて異なるが、一般的にセミヨン70、ソーヴィニョン・ブラン20、ソーヴィニョン・グリ10

ソーヴィニョンは大きく2回に分けて収穫される。最初のロットは、完熟する少し前の第一アロマと香気成分を十分に持っている葡萄が収穫される。もう1つのロットは、完熟し、より洗練されたアロマを持つ葡萄が収穫される(2つのロットは別々に醸造され、瓶詰め前にアッサンブラージュされる)。

セミヨンもソーヴィニョンも100除梗し、スキン・コンタクト810度で一晩)を行う。ソーヴィニョンには全てスキン・コンタクトが行われるが、セミヨンは選別された特定のロット(スキン・コンタクトを行うことによって複雑さが得られると判断されたロット)のみスキン・コンタクトを行う。水平式空気圧圧搾機で圧搾して前清澄の後、ソーヴィニョン・ブランはステンレス・タンクで醸造・熟成される。ソーヴィニョンの典型的なアロマとフィネスは、樽発酵を行うと失われてしまうため、全てステンレス・タンクで低温(18度)で発酵させる。これに対し、セミヨンは全てバリック(小樽)で発酵させる(新樽751年使用の樽25)。発酵温度は22度前後。ソーヴィニョンもセミヨンもマロラクティック発酵は部分的にとどめる。

白ワインの樽は、セガン・モローとフランソワ・フレール社の樽を使用。樽業者の中で最もピュアで混じりけのない樽を作っているため白ワインには最も適切であると考えている。樽の焼き加減はミディアム・トースト。

熟成は澱と一緒にシュール・リーの状態で行われる。ワインと一緒に寝かせる澱の細かさの度合いは、ヴィンテージとワインの品質に応じて決める。熟成の最初の期間は毎日1回のバトナージュ、その後は1週間に3回、1週間に1回、という割合で頻度を少なくしていき、熟成の34ヶ月目以降はバトナージュは行わない。還元香が発生しない限り、熟成期間中に澱引きはしない。その後、ヴィンテージに応じて1012ヶ月熟成。アッサンブラージュは瓶詰め前に行ない、軽く清澄を施し、無濾過で瓶詰めされる。

セカンド・キュヴェは100セミヨン。発酵も熟成も全てステンレス・タンクで行われる。使われる葡萄は完熟度やボディーよりもアロマティックである点が重視される。熟成期間はヴィンテージに応じて68ヶ月熟成。

 

甘口白ワインの醸造

品種:セミヨン100

遅摘みと貴腐に適した3ヘクタールの区画で栽培された平均樹齢70年のセミヨンの葡萄を4回に亘って粒選り摘み。直接圧搾し、ファースト・キュヴェの発酵はバリック(小樽)で行う(50%は新樽、50%は1年使用の樽)。その後、ヴィンテージに応じて12ヶ月〜20ヶ月熟成。セカンド・キュヴェのシャトー・ラムルーはステンレス・タンクで発酵を行い、引き続き

ヴィンテージに応じて12ヶ月から16ヶ月熟成を行う。


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